トレイル

トレイル

「JAPAN TRAIL」という名の、日本列島をひとつに結ぶロングトレイルを、みなさんとともに創設していきたいと、わたしたちは考えています。みなさんのライフスタイルの一部として「歩く旅」を広めていき、日本の魅力を再発見していただきたい。それにより、日本の「歩く文化」が、また一歩先へと進むことを望みます。

Trail(トレイル)とは、歩くための「道」である

Trail(トレイル)は昔、人々が歩いて移動していた時代に使われていた歩行者専用の道や、行楽のために整備された道が基になっています。それを現代では、レクリエーションのために歩く道として使うように進化しました。

歩くことを楽しむための道がある程度長い場合を、「ロングトレイル」と呼んでいます。カナダにあるTrans Canada Trailが総距離2万7000kmであるのに対して、ウェールズにあるSnowdon Horseshoeはわずか総距離11kmですが、これらはすべてロングトレイルと呼ばれています。

また、それぞれのトレイルには、例えば海岸線を歩く、巡礼の道を歩くなど、テーマが設定されています。それらのトレイルをスルーハイクする(通しで踏破する)ことも、ひとつの楽しみ方です。さらに、目的地への到達や目標距離の達成を目指すだけではなく、道中での出会いそのものを楽しむのも、トレイル歩きの面白さです。

部分的には、自転車や馬も通る道もありますし、ルート設定によっては、車道を歩かなくてはならないこともあります。管理者サイドと調整し、利用者の楽しみ方を尊重し、安全な「歩く旅」を、わたしたちは「JAPAN TRAIL」で実現していきます。

Hiking(ハイキング)とは、「歩いて遊ぶ」ことの総称である

欧米では、アルピニストが活動する「岩・雪・氷」のフィールド以下を歩く行為は、全て「Hiking」と捉えています。しかし、氷河がほとんどない日本では、欧米のように四季を通じて明確に線引きするのが難しく、その定義は浸透しませんでした。また、トレッキングやウォーキング、トレイル歩きといった新たな「歩く遊び」のワードが次々と、入ってきたため、歩くスタイルの定義が複雑になっていきました。

そこでわたしたちは現在日本で一般に使われている「日帰りの低山や丘歩き」というハイキングの定義を「美しい自然のなかを歩くこと」に拡大し、「ハイキング」を「歩く遊びの総称」にしたいと思います。

実際には国際基準にかなうよう、セクションごとにトレイルのグレードを設定していきます。

Hiking Trails

平坦か緩やかな道で、あまり転落の恐れがない。スニーカーで歩くこともでき、遭難の心配はほとんどない。

Mountain Trails

明瞭な登山道で、部分的に急で厳しいところもあるが、転落の恐れはほとんどない。ハイキングシューズか登山靴を履き、地図を持参することが望ましい。

Alpine Trails

狭く急な道で、場所によって転落の可能性がある。危険個所にはロープや鎖が設置されているが、両手を使用する必要がある。適切な登山靴と地図は必須で、高山での経験や慣れも必要。

トレイルを創設し、保全し、後世に残していくために⋯⋯

  • ・人々が絶えず利用することで、はじめて道は存在できます。
  • ・管理団体、ボランティア活動による定期的な整備・メンテナンスにより、事故を減らせます。
  • ・そこに生息する動植物たちに配慮することで、自然が保てます。
  • ・ゴミを置いていかない、残すのは足跡だけで、自然への負担が軽減できます。
  • ・道に不具合があったとき、管理者に知らせることで、みなさんの安全が確保できます。
  • ・動植物を見かけたら管理者に知らせることで、みなさんが自然の今を知ることができます。
  • ・公共交通機関を利用することで、環境負荷の少ない「歩く旅」が実現します。
  • ・車や自転車、人、動植物に気を配ることで、みなさんも安全に道を利用できます。